逆気を主る「合穴」の活用法とは/足三里と尺沢の経穴学(五行穴編)

中医学
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全身をめぐる十二経絡には、それぞれの経絡に、五行穴という要穴が配置されています。

五行とは、
木・火・土・金・水という5つの気の要素のことで、

元々は”五気”といわれていたという説もあります。

各経絡のツボの性質を、
五行の要素に当てはめ、

井・榮・兪・経・合として、定めています。
※陰経と陽経では、五行の配置が異なります。

今回は、
五行穴の中で、

逆気を主るとされる合穴について、
治療での活用法をお伝えしていきます。

逆気とは、
気が逆流するというイメージで良いと思います。

十二の臓腑で、
気が逆流する代表的なケースとして、
胃経と肺経の症状がありますので、

それぞれの経絡の合穴である、足三里と尺沢を取り上げていきます。

胃の逆気 ー 足三里

胃の逆気は、
吐き気やムカムカという悪心、胸焼けなどが代表的な症状となります。

現代人に多い、逆流性食道炎のような症状も逆気と診ていきます。

このような症状には、
胃経の合穴である足三里を治療穴とします。

邪気が上がっていくことで、悪さをしてますので、
実証と診て、瀉法の指圧を行うと効果的です。

また、
胃の気というのは、降濁作用といって、
不用な気を降ろしていく働きがあるため、

広義でいえば、
頭痛や肩こり、のぼせ、高血圧などの症状でも、
気が必要以上に上がってしまっている状態と診立てた場合は、

気を降ろす作用のある、足三里を治療穴とすると、治療効果が期待出来ます。

肺の逆気 ー 尺沢

咳や痰、深い呼吸が出来ないなどの症状がある場合、

肺の逆気と診て、
合穴である尺沢を治療穴とします。

痰の場合は、
肺は「貯痰の器」、脾は「生痰の源」といって、
痰を作り出すのは、脾の不調と診ていきますので、

肺経とあわせて、脾経の治療が重要となります。

咳や痰のケースでは、
実証と診て、瀉法の指圧が有効です!

呼吸が浅いという状態は、

肺の粛降という働きが弱っています。

カゼやストレスなどで、邪気が悪さをしていれば、瀉法の指圧。

老化や病気による体力の低下などが原因であれば、
腎の納気作用という働きが弱っているので、

肺の逆気ではなく、
腎経の治療がメインとなります。

この場合、
尺沢は、呼吸の調整にも効果がありますので、治療穴としても良いですが、
ドーゼには気をつけて指圧を行なって下さい。

まとめ

実際の治療で、
五行穴の合穴を活用するケースとしては、

胃経と肺経の逆気に対する治療が主だと思います。

上述した症状を主訴とする方や、
胃や肺の逆気となりやすい体質の方などには、

五行穴の合穴である、
足三里と尺沢への治療を活用してみて下さい。

患者さんは、
治療後のスッキリ感や、効果の持続感が得られると思います。



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