湿熱証に対する瀉法の指圧についてお伝えしていきます。
瀉法というのは、邪気を取り去る治療法のことです。
※不足している気を補うのは補法。
湿邪というのは脾胃で作られてしまい、熱化して湿熱邪となったり、
湿熱邪の原料となってしまうアルコールや甘い物の大量摂取によって溜まっていき、
経絡に乗って全身に運ばれてしまいます。
そこで、中医学的に考えてみますと、
湿熱邪が溜まってしまう、脾経と胃経に対してアプローチしていくことになりますが、
脾胃の働きをコントロールしているのは、肝の疏泄作用によるものなのです。
この肝と脾胃との関係性は、木剋土の関係であり、
臨床上、相生相剋の理論では、木剋土の症状から始まることが一番多いと思われます。
アルコール摂取による肝臓への負担や、パソコン作業による眼精疲労などから、肝の働きが悪くなっていたり、
また、なぜ飲み過ぎや食べ過ぎとなってしまうのかと考えてみると、
空腹だからということではなく、ストレスによって、肝の疏泄作用が乱れているために、制御が効かずに飲み食いしてしまうのです。
まず、治療すべき臓腑は、
脾と胃の働きをコントロールしている肝なのです。
治療は、肝の疏泄作用というコントロールセンターを正常化させて、
湿熱邪の製造工場である脾胃にアプローチしていくことになります。
肝気鬱血といって、
肝はストレスなどによって、気が鬱しています。(気が詰まって滞っている)
脾と胃も、湿熱邪が詰まっているわけですから、
去邪といって、
肝と脾胃に対して、邪気を取り去る瀉法の指圧を行います。
臓腑の働きが弱っているからといって、決して気が不足しているわけではないのです。(補法ではない!)
実際の指圧療法では、
肝の気の巡りを改善するのに、一番良く効く経穴である、
太衝を治療穴とします!
太衝に十分に瀉法の指圧を行なったあと、
治療反応が起こりやすい、下腿の胃経と脾経に瀉法の指圧を行います。
瀉法というのは、
経絡の流れに逆行する方向に圧を入れていくことがポイントです!
圧の入れ方や離圧のタイミング、持続圧の適切な秒数、ピンポイントなツボの取穴法など、
細かい技術面のお話しは、講習会でお伝えしていきます。
そして、
胃経と脾経の中で、湿熱邪を取り去る作用の強い経穴は、
胃経では、足三里と豊隆。
脾経では、陰陵泉と地機です。
これらの経穴を重点に瀉法の指圧を行うと、
湿熱証に対する本治法となるのです。
もちろん、
背部兪穴の、肝兪や胆兪、脾兪、胃兪、
それらに対応する、膀胱経2行線の経穴である、
魂門や陽綱、意舎、意倉。
これら8穴(両側で16穴)の中で、一番硬結圧痛反応のあるツボに対して、垂直圧による安定持続圧(按法)を行うのも、
湿熱証に対する本治法となります。
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