肩外兪と肩中兪という経穴は、
小腸経のツボで、
取穴法の定義はありますが、
大まかに、
・肩外兪 ⇨ 肩甲骨上角のキワ
・肩中兪 ⇨ 大椎と肩甲骨上角の間
上背部から肩上部にかけての丸みのある部位にツボは配置されています。
首肩コリを訴える方で、
この部位に症状があらわれていれば、
経絡的には、
太陽経(膀胱経と小腸経)の弱りと診ます。
頚部の古典経絡の走行でいえば、
後頚部の正中ライン近くに膀胱経が走行しており、
経絡指圧診断治療要図(増永経絡)では、
側頚部(横突起ライン)に小腸経が走行しているため、
これらの部位に、痛みやコリ感があれば、
肩外兪や肩中兪が治療穴となってきます。
筋肉の付着や走行とあわせて診ていくと、
肩甲挙筋の起始部近くとなるため、
寝違えのように、
痛みのために首が動かせないという症状にも、治療効果を発揮します。
肩外兪に硬結圧痛反応があり、
垂直に持続圧を行うと、
拇指や示指に響きが起こることがあります。
経絡は、
小腸経なので、主に小指に関連するのですが、
これは、
肩甲骨内縁に並ぶ経穴(膀胱経2行線)の、
附分、魄戸、膏肓、神堂が、
それぞれ、
示指、中指、薬指、小指に響きやすいことから、
経絡的というよりは、
身体の構造的(位置的)な関連だと考えられます。
※このことは、関節運動学的アプローチを学ぶとよくわかります。
頑固な肩コリで、
肩外兪や肩中兪あたりに、強い筋緊張があり、この部位を入念に施術しても、なかなか筋硬結が緩まない症状があります。
この症状は女性に多く見られ、
卵巣反応といって、
「女性特有の肩コリ症」と診て治療を行う必要があります。
増永経絡の走行でも、
この部位には小腸経が走行しています。
小腸経は、瘀血の証があらわれやすく、
婦人科系の不調から起こる肩コリは、
肩外兪と肩中兪あたりの筋肉が、盛り上がるように強く緊張して、慢性的な辛い肩コリとなります。
経絡指圧の治療では、
腰部にある「卵巣反応ゾーン」に、
深く圧を浸透させて、肩コリの部位に響かせて治療反応を起こしていきます。
卵巣反応ゾーンは、
腰部の腸骨稜の上縁で、
腰方形筋の停止部あたりに位置してます。
この部位からの経絡走行は、
小腸経として、肩外兪・肩中兪あたりに通じているため、
女性の肩コリ症には、
重要な治療ポイントとなってきます。
まとめ
肩外兪と肩中兪というツボの、硬結圧痛反応は、
太陽経(膀胱経・小腸経)の病変と診て、
頚部では、
古典経絡の膀胱経や、増永経絡の小腸経の症状の治療穴としたり、
女性患者さんには、婦人科系の不調からの肩コリも考慮して、
この部位に強い筋緊張があった場合は、
腰部の卵巣反応ゾーンの施術も、あわせて行うことが大切となります。
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