統一体観
東洋医学では、腰や肩、胃や肝臓など、身体を個々に診るのではなく、全体を一つの統一体として観ていきます。
腰痛や肩コリ、内臓の機能低下などの症状を、陰陽の変化や五行の性質でとらえて治療を行います。
陰陽
陰陽の変化は、身近に感じるものでは時間や季節の移り変わりなどがあります。
時間帯を便宜的に言えば、午前0時から夜が明けていく午前6時までに少しずつ陽の気が強くなっていきます。
そして午前6時から正午にかけて陽の気はさらに強くなり、陽が極まると陰が生じ、日が暮れる午後6時頃にかけて陰の気が強くなってきます。
夜になるとさらに陰の気が強くなっていき、午前0時に陰が極まり陽が生じるというサイクルが繰り返されます。
季節の変化でも同様で、陰の極まった冬至から陽の気が生じ、だんだん暖かくなっていき春分となり、さらに暑くなって夏至で陽が極まって陰が生じます。そして涼しくなってきて秋分となり、さらに寒さが増して冬至になってまた陽の気が生じてきます。
このように人間は自然界からたえず陰陽の気の移り変わりの影響を受けているのです。
五行
森羅万象、この世に存在する全ての物は5つの要素に分類することが出来るというのが五行説です。
東洋医学でも人体を、木・火・土・金・水の5つの性質に分類します。
その中でも五臓の肝・心・脾・肺・腎を中心に観ていきますが、身体を構成している要素である五主や五華、五根。食べ物の味や色、感情、自然界の現象なども5つに分類され、人体と密接に関連しています。
人体の陰陽の根源は腎にあり、全ての臓腑の陰気は腎陰が、陽気は腎陽が統括しています。
季節の変わり目や、気圧の変化によって体調が悪くなったり、筋肉や関節が痛くなったりする方は、腎の働きが弱っていると考えられます。
また、寒さや暑さ、湿気などの自然現象、飲食の不摂生やストレスなどによって、どの臓腑が弱っているのかを五行説を用いて診ることが出来ます。
暑い夏の熱中症では心が弱り、お酒の飲み過ぎやデスクワークによる目の酷使では肝が弱り、甘い物の食べ過ぎでは脾が弱ります。
人体にあらわれる症状を、陰陽と五行の考えから、部分ではなく全体でとらえて治療を行うことによって、症状の根本にアプローチが出来るのです。
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