後頭下筋群とは、大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋の4つの筋肉のことで、それぞれの付着部位は以下のようになります。


大後頭直筋 → 軸椎棘突起から後頭骨
小後頭直筋 → 環椎後結節から後頭骨
上頭斜筋  → 環椎横突起から後頭骨
下頭斜筋  → 軸椎棘突起から環椎横突起

これらの筋肉の付着部位や走行を意識して垂直に圧を入れていきます。



後頭下筋群のトリガーポイントが活性化しますと、側頭部や目の奥に痛みを引き起こします。

経絡治療でも、天柱や風池、完骨への指圧法と通じるものがあり、頑固な首肩コリをはじめ、頭痛やめまい、目、鼻、耳などの頭顔面部の症状の治療には重点部位となります。


ツボやトリガーポイントは変動するという考えから、患者さんの症状に合わせた治療ポイントを捉えることが大切です。



この部位の指圧法では、

・筋肉の停止部あたりに形成される硬結を、後頭骨に垂直に圧し当てる
・後頭骨下縁を潜るように垂直に圧を入れる
・C2高位からやや頭側に向かい垂直に圧を入れる

上記3つのラインを治療部位として狙っていきますが、
その中でも、「後頭骨下縁を潜るように垂直に圧を入れる」の指圧法が基本となります。


拇指圧で行いますが、頭顔面部に響き治療反応を起こす、適切な深さへの垂直圧になるための、知っておくべき3つのポイントを説明していきます。



① 拇指頭で硬結を捉えて安定持続圧をかける


後頭下筋群の硬結を、拇指腹(広い面)で捉えて圧をかけていくと、筋肉は弾力性がありますから、適切な深さまで沈んでいく前に、拇指の末節骨頭が後頭骨に引っかかるように当たり、圧がブロックされてしまい、硬結に触れている拇指腹からの圧は深くまで浸透していきません。

それどころか、圧が浅いだけでなく、骨(後頭骨)だけを軽く押されているような、効く感じが無い物足りない圧となってしまいます。

後頭下筋群の付着部を明確にイメージしたら、硬結を拇指頭で捉え、後頭骨下縁を潜るように垂直に圧を入れ、適切な深さでピタッと止まる安定持続圧になると、治療反応が起きる響く圧となります。




② 外側に行くほど圧痛閾値が低い


後頭下筋群の施術は拇指圧の場合、正中寄りから外側までの間で3点ほど治療ポイントが取れると思います。(基本となる治療ポイントの意味)

外側の治療ポイントは圧痛閾値が低いため、正中寄りの治療ポイントと同じ深さまで圧を入れようとしてしまうと、強い痛みを与えてしまい、身体は防御反応を起こし治療反応は起きません。

経絡治療の場合も同様で、天柱や風池よりも完骨は圧痛閾値が低いため、圧の入れ方には気を付けなければなりません。

また、外側のポイントは、頭蓋の丸みに対して垂直を捉えるように圧を入れます。
顎関節の後方に圧が向かってしまうと、治療効果がないばかりか、不快な痛みとなります。

後頭下筋群のどこの部位を狙っているのかによって、圧の深さには留意することが大切です。




③ 後頭骨下縁の傾斜に対して一直線に圧を入れる


後頭下筋群を拇指で捉え、体重をかけていく時に、後頭骨下縁の傾斜に拇指が流されてしまうと、後頭部の皮膚や皮下組織のような物を引っ張ってきてしまい、その上から圧をかけても肝心な筋硬結には圧が届きません。

筋肉に覆い被さってしまった余分な物の上から圧をかけても浸透せず、患者さんにとっては物足りない刺激となってしまいます。

また、ベッド方向に圧が流れてしまい(伏臥位時)、筋肉に対して垂直を捉えることができません。

これらのことに、施術者は気が付かないために、どんどん強い圧を入れるようになり拇指への負担が大きくなってしまいます。

後頭部や後頚部の、骨格の形状や筋肉表面の特性を考慮して、後頭骨下縁の傾斜に対して一直線に圧を入れることが大切です。




上記3つのポイントは、拇指の感覚を養うことが重要となりますので、練習では圧の深さや方向などを良く確認して、パートナーからフィードバックをもらうことが大切です。