東洋医学では、精神は丹田に納められるといわれるように、全身に滞りなく気がめぐり、正気が下っ腹に充満していると、それは元気で健康な証と診ます。
中医学では、
肝の働きによって、気の昇降出入がコントロールされていると考えますが、
その他に、気を降ろす働きがある臓腑は3つあります。
・肺の粛降
・胃の降濁
・腎の納気
その中でも気を降ろしていく働きの代表格が「腎の納気作用」となります。
肺の呼吸によって、外界から気を取り込みますが、
しっかりと深い呼吸になるよう腹部まで気を降ろしてくる働きは、腎の納気作用が働いていることが必要となります。
「精神」にも同じことがいえ、
気持ちが浮つかないように、精神もしっかりと下っ腹の丹田に納まっていることで感情が整ってきます。
その納気作用を高めるためには、腎の治療を重点に行うことが大切です。
腎兪や志室、下肢腎経の要穴などの硬結圧痛反応を診て、
指圧で腎に響きを起こしていきます。
安定持続圧によって、
腹部に響く、腹鳴が起こる、呼吸が深くなるなどの反応が得られれば、
腎の働きは高まっていると考えて良いと思います。
施術の反応が感じにくい方もいますので、
その場合は、痛くて気持ち良い圧によって「効いてる感」があり、
リラックスしていれば、治療反応は起こっています。
眠くなるという反応も、副交感神経が優位となっているよい状態ですね。
按腹療法でも、
腎の経絡反応ゾーンを中心に、12の臓腑の虚実を整えていきます。
そして、仕上げの技として、
降気を誘導させるように、気を引き下ろす納気の手技を行います。
水月から臍下丹田へ、
さらに季肋部を通り、弧を描きながら臍下丹田へと、
強擦法的な手技で、丹田に気を納めていきます。
頭痛やのぼせ、めまい、イライラ、不安感、動悸、息切れなどや、
肝気上逆、肝火上炎、心肝火旺、肝胆火旺、肝火犯肺、気逆、心腎不交など、
邪気が上焦に滞っている症状がある方には、特に有効な治療法となります。
「納気按腹術」は、
全身への各種治療手技の、治療効果を長く持続させる効果も期待出来ます。
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