殿部から下肢後側にかけての痛みやシビレ感を訴えれば、坐骨神経痛と診断されることが多いと思います。
坐骨神経の走行に沿って線1本のシビレがあれば、神経根の圧迫や梨状筋による神経の絞扼からの神経痛と考えられますが、
下肢後側に”面的”に痛みやシビレ感が広まっていれば、小殿筋第2トリガーポイントの活性化による関連痛と思われます。
関連痛パターンの領域の、どの部分に症状が現れるか個別的ですが、
トリガーポイントへの安定持続圧を行うと、愁訴の再現のような響きが起こります。
殿筋群は厚みがあり、小殿筋は深層部に付着してますので、
施術は肘圧法が適しています。
伏臥位と側臥位の両方で治療を行えば、それぞれ違った刺激となり治療効果を高めてくれます。
もし、伏臥位では殿筋群の筋緊張が強い場合は、側臥位のみの治療でよいと思います。
肘頭をうまく当て、圧を入れていきますが、
肘は拇指に比べてセンサーが鈍いため、筋硬結を感じ取るのが難しいです。
まずは、
拇指圧や診断的な拇指揉捏によって、小殿筋のトリガーポイントを触察し、
狙いを定めて肘圧法を行うと良いですね。
肘圧法も慣れてくると、肘でもトリガーポイントの感触がわかってきます。
垂直圧では、
皮下脂肪や表層部の殿筋に惑わされないように、圧を浸透させていきます。
また、殿部の骨格もしっかりとイメージして、ベクトルを定めることも大切です。
ピタっと圧が安定したと思ったら、
患者さんに、「痛みはありますか?」「足の方に響く感じはありますか?」などと、
確認しながら治療を行うと、肘圧法のスキルも上がっていきます。
治療院に来られる患者さんは、治療代を払って症状を治しに来ているので、
治癒に向かうためのことなら、施術者からの問いかけにも、いやな顔せず答えてくれますので、
圧の強さや響き、ツボやトリガーポイントに当たっている感じがあるかなど、コミュニケーションを取りながら治療を行っていくと良いと思います。
指圧とは、拇指で行うだけではありません。
背腰部や殿部、足底など、筋肉に厚みがあったり硬い部位は、
無理やり拇指で押そうとしても、力押しとなってしまい、交感緊張を生じさせて筋肉が緩みません(響きが起こらない)。
力で押したものは、力で押し返されるのです。
施術部位に応じて、肘や拳、手根、指の関節などを上手に使って、
相手にもたれかかるような圧となったときに、
副交感神経が優位となり、トリガーポイントが沈静化します。
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