胸骨は「感情の座」といわれ、感動や喜びも含めて、怒りや悲しみ、精神的トラウマなどといった、
あらゆる感情が納まる部位と考えられています。
そのため、強いストレスや精神的ショックをうけると、
胸骨の微細な振動がストップしてしまうことで拘束が起こり、さまざまな症状を引き起こします。
呼吸が浅い、動悸、胸の苦しさや痛み、不安感など、
また、経絡的に考えても、
心や心包、肺などの上焦の気血のめぐりが悪くなるため、全身症状へと影響してしまうことも考えられます。
胸骨の拘束をリリースする治療を行うことで、
胸が軽くなり気持ちも晴れ、感情が解放される効果が期待出来ます。
この部位の経絡は、
胸骨の正中には任脈、胸骨外縁には腎経が走行しており、
両経に診断按摩を行い、硬結圧痛反応や響きが起こるところを治療穴とすると良いと思います。
臓腑の弱りを胸肋関節の高位で診ていくと、
第1~第3高位は肺の弱り、
第4、第5高位では、心包と心の弱りが考えられます。
胸骨の拘束をリリースさせる治療で、特に重要視したいツボを2つご紹介します。
まず1つ目は「膻中」です。
胸骨のほぼ真ん中に位置する膻中は、心包経の募穴でもあり、
中丹田ともいわれ、上焦の中心部となります。
東洋医学では、
「五志七情」とありますように、
五行論のもとに、5つに分類された7つの感情によって、
心と体は、さまざまな影響を受けると考えます。
この感情も含めて色々な邪気から、生命の中枢の臓腑である「心」を守っているのが「心包」です。
中丹田といわれる胸骨の要所「膻中」への指圧療法により、
胸骨の拘束リリースと同時に、感情を解放させる響きを起こすように働きかけます。
治療効果は、胸中に集まっている気である「宗気」の働きを活性化させ、
心拍動や呼吸を調整し、
また、気の推動作用を高めて全身への気血のめぐりを促進させます。
技術的には、骨上の指圧となりますので、
筋肉などに行う圧と同様に行うと、強く重い圧となってしまい不快な刺激となります。
胸骨の微細な振動を回復させるには、弱い圧の方が反応が良いという特性がありますので、
膻中に指を当て、圧だけゆっくり浸透させていくような安定持続圧が求められます。
圧の強さや深さは、手先の力加減での調整ではなく、
全身を使った支え圧で行うことで、心地よい響きを得ることが出来ます。
もう1つのツボは、
“水月”といわれるみぞおち部です。
経絡指圧診断治療要図の腹証では、
心と心包の反応ゾーンとなります。
水月に、ゆっくりと深く圧を浸透させることにより、
心と心包の気が流注している胸骨へ経絡反応を起こし、アプローチしていきます。
胸骨に拘束がある方では、
この部位への刺激は、はじめ不快となることもありますので、
緩圧法などを用いて、徐々に深い按圧としていくと良いですね。
按腹療術としては、
水月への按法で、不快感や防御性筋収縮が診られる場合は、
心と表裏経である小腸や、同名経の腎などの経絡反応ゾーンがある下腹部をよく緩めてから、
水月へアプローチを行うと、深く圧を入れられるようになります。
胸骨の拘束がリリースされることで、胸が軽くなり、精神が安定します。
また、表情が明るくなり、声も元気になってきます。
患者さんとの信頼関係が築かれていないと、
施術が難しい部位ではありますが、
メンタル面の不調に対する治療として、習得しておきたい指圧スキルとなります。
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